その為、進展しそうにない状況に痺れを切らした修二が口火を切った。


「貴方は?」


修二の声に反応したのか、男の目が再び修二へと向く。そして、男の口がゆっくりと開く。


「ああ。私は、福西崇史(フクニシ タカシ)だ。君に何かをするつもりはない。刑事だった誇りにかけて」

「刑事……だった?」

「ああ。刑事だった…だ。もう辞表を出してるからな」



刑事だったから、前の名字を知っているのか?

もしそうなら、この刑事だったという福西は幼児誘拐殺人事件の捜査に関わっていたって事になる。



そう考えを整理していると、福西の前にあるデスクに光を放つパソコンが置かれているのが目に留まった。


光を放つパソコン。つまり、起動しているという事。


「あの。……下の部屋の画面に映る文字を打っていたのは、……貴方ですか?」

「そうだ。それと、…………君達を誘拐し、監禁した犯人も私だ」

「なっ!」


悪びれた様子もなく、しれっとそう言ってのける福西に目を見開く修二。