自分の部屋に閉じこもったまま。しかもカズキを何かと文句をつけて怒鳴り殴る。そんな兄が居るという事を担任に隠したかったのだろうその言葉。


家庭訪問当日、苛々しながらも部屋に閉じこもっていた修二にいつもより甲高い母親の声が聞こえてきた。


「先生、どうぞお上がり下さい」

「ありがとうございます」


担任だろう女の声も自棄に甲高いのがまた、修二の勘に触る。


抑え切れない苛立ちからギリギリと歯を噛み締めた時、

「あの、2階に何か?」

そんな担任の声が響く。


それに慌てた口調で「いえいえ。何でもないんですよ。ささっ、どうぞ」と言う母親。


修二が部屋から出て来ないかを心配して、何度も2階に繋がる階段を母親が見ていたと直ぐ分かる会話に、更に修二の苛立ちが増す。



今、いつも苛立ちをぶつけるカズキは側に居ない。

でも、苛々して爆発しそうだ。



そんな気持ちが胸の中を埋めつくそうとしていた時、ふと窓へと視線を向けた。