すくすく成長していくカズキは明るく、外遊びが大好きに。


だからか、カズキを見て『修二もそろそろ外に出てみないか?』という父親からの声掛けが徐々に増えていった。


それに一様に首を横に振る修二。


その辺りから引き込もり続ける修二に対して父親の苛立ちが積もり、母親と言い争う姿を何度か目にした。


家族が壊れるのはいとも簡単で。


修二が16歳の時に両親が離婚し、『尾木』から引き取られた母方の姓である『赤坂』へと名字を変えた。


修二と母親とカズキの3人での暮らしが始まるが、それでも修二が外に出る事はないまま。


自分が切っ掛けで壊れた家族。更には外に出れない事で修二に溜まったストレスは爆発寸前で、それを発散する様にカズキに当たる様になったのもその辺りの事だ。


『お前は何も出来ないクズだ!』
『ちゃんと言ったもん買ってこいって言っただろうが!』
『消えろ』


そんな言葉と共にカズキを殴りつける。


いけない事だと修二も分かっているのだが、それが修二の気持ちを少し軽くさせたのだ。


そのせいかカズキは修二を避ける様になり、また母親もカズキを守る様になった。


カズキの小学校の家庭訪問の日に、

「修二は部屋から出て来ないでね」

と母親に言われたのはついこの間の話だ。