実際問題、お茶を飲んだ後直ぐに由里子は死んでいる。
だが哲夫も同じものを飲んでいたから、お茶に毒が入っていたという事はないというのも分かる。
そして第一に由里子の死を疑い、修二の申し出を断る事よりも、出来るだけ修二と対立しない行動を取る事の方が今の哲夫にとっては重要なのだ。
そうなると、哲夫の出す答えは決まっている。
「いや、折角だし頂くよ。しかもどうやらその銘柄は私の大好物の焼酎らしいしね」
「そうなんですか」
哲夫の言葉で修二がラベルを一瞥するも、少し首を傾げる。きっと修二は焼酎の種類など知らないのだろう。
コポコポコポ……とグラスに注がれていく酒。
グラスの半分より少し上まで注がれた所でそれが止まった。
そのまま、どうぞ…と酒の入ったグラスを手渡される。
「修二君も飲むかい?」
「いえ。僕はまだ20歳になっていないかもしれないので」
ゆるゆると首を横に振る修二に思わず苦笑いが漏れる。


