ドアの前まで来ると、誰にも気付かれない様にそっとドアを開け5角形の部屋へと足を踏み込んだ桜。


瞬間、守のいるであろう部屋のドアをキッと鋭い目で睨み付ける。


「私が、……私が殺される前に幼児誘拐殺人犯を殺せばいいだけの事よ」


その言葉と共に。






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「ううっ……」


数分経過したからか、徐々に痺れはましになっており、僅かにだが声を出しやすくなった桜。


だが、まだ声をあげる事は不可能な状態だ。


勿論手足も動かない。



どこで何を間違ってこうなったのか?



そう考えてみようにも、手足の痛みで頭がよく回らない。


ただ桜の中でハッキリしている事は、時任守にしてやられたという事だけ。


殺すつもりで毒薬入りのお茶を持って行った筈なのに、返り討ちにあったのだ。


桜はただ声を掛けただけで、殺意を見せてもいない状態でやられた。


何処かで恨まれていたのか、はたまた最初から恨んでいたのか。