そして少しすると何かに納得したのか、
「はい。大丈夫です。ありがとうございます」
そう桜に深々と頭を下げた。
何故、急須がいるのか?
何を確認していたのか?
修二の行動に気になる事はあるものの、それ以上踏み込む事はしない。
探りを入れて距離を置かれでもしたら、協力も何もあったものじゃない。
「じゃあ」
修二にそう言ってその場を去ろうとした時、「あっ、桜さん」という言葉と共に、トンッと右肩に修二の手が乗せられた。
「はい」
再び修二の方を振り向くと、桜の目に映るのは自棄に嫌な笑いを浮かべている修二の顔。
そして、その顔のままボソッと呟かれた言葉が桜の心臓が跳ね上げた。
「由里子さん、……殺せて良かったですね」
「えっ……」
一気に顔を青くさせる桜に何か答えるわけでもなく、修二はふっ…と笑い声を漏らすと鏡だらけだったという部屋へと歩を進めていく。
桜はカタカタと震える身体を両手でギュッと抱き締め、修二の姿が目に見えなくなるまでずっと彼の背中を見つめている事しか出来ない。


