哲夫は由里子の彼氏にどことなく雰囲気が似ている。
こうやって心配してくれる優しさや、前に進む為に何かを無くす事を恐れる臆病な所がそっくりなのだ。
「私、意外に度胸があるの。と言っても、一番近くのこのドアしか開けられないけどね」
ニコッと微笑んでそう言う由里子だが、心臓はバクバクと大きな音をたてている。
不安と緊張の入り交じった鼓動。
それでもゴクッと息を呑むと、取っ手を下に下ろしドアをゆっくりと押した。
徐々に開いていくドア。
それに全員の視線が釘付けになる。
やっぱりドアを開けても何も起こらない。
その事にホッと息を吐き出した由里子だが、ドアを全て開いた瞬間、
「えっ……」
と声を漏らした。
白い床、白い壁、白い天井。
それは今いる場所と変わりない。
ただその部屋には長方形の簡易テーブルが何脚も置かれており、その上に異様な迄に大量の黒いノートパソコンが置かれていたのだ。


