紙コップ。
これを使えば、……あの女が毒薬入りのお茶を飲む可能性が高くなる。
未開封の透明の袋の中で縦長に積み重ねられている紙コップ。それを手に取ると、封を開ける。
そして一番上にあった1つを取り出し、残りの紙コップを袋ごとギュッと握り潰した。
今、桜が握り潰した事でくしゃっと皺の入った紙コップと、皺のない綺麗な紙コップが隣に並んでいたのなら。
かなりの確率で綺麗な方を選ぶ人が多い。
あの女に会って帰ってきたユウキの服にピシッとアイロンが掛かっていた事。
整った文字に端と端を丁寧に合わせて折られていた紙。
そういう事をする女は特に。
取り出していた綺麗な紙コップを、一度握り潰した紙コップの上に再び重ねる。
そして、そこに青の小瓶に入っている液体を半分より少し多めに注いだ。
最初は桜も必ず由里子が死ぬ様に全てを注ごうと思っていたのだが、もし自分を憎む相手がこの場にいたなら、その相手に今度は自分が命を狙われる。
その時の為に、自分を守る事が出来るかもしれないこの毒薬を全て使い切ってしまうのを止めたのだ。


