由里子が出題した言葉は『姑息』。
貴方にピッタリ。
『姑息』っていうのは、あんたみたいに人の物をこっそり取る『卑怯』な女の事よ。
そう声を大にして叫びたい衝動に駆られる。が、今、由里子に警戒する対象と思われるのは、不利になると踏んでグッと声を押し留める。
そして手に持っていた紙に、力一杯憎しみを込めて『卑怯』とだけ答えを記入した。
桜はゲームに負けてしまった場合が気になった為に、由里子を負かそうとしたわけだが。
桜の答えは間違え。
ただ、由里子を負かそうとしたのは桜だけではなかったらしく、結果、由里子は『負け』となった。
負けた事に恐怖し怯える由里子の顔は、これほど見ていて楽しいものはないという程快い感情が桜を満たした。
更に、このゲームのお陰で桜は由里子に自然にお茶を勧める事に成功したのだ。
お茶を取ってくるという理由でキッチンの部屋に入ると、中を見られない様にドアをしっかり閉める桜。
そして、食器棚の方へと歩を進める。
あの毒薬を飲ましてあげる。
そう思ってニヤつき、食器棚からガラスコップを取り出そうとして手を伸ばした所で手を止めた。


