光沢のあるグレーの両開き冷蔵庫。その戸を開くと、中にはギッシリとお茶と書かれた2リットルのペットボトルが敷き詰められている。
食料でも入っていれば、自分がここから動けなくても一番長く生き長らえると桜は思っていたのだが、そこまでは事は上手く運ばないらしい。
ただ、この大量のお茶は使える。
冷蔵庫から1本のペットボトルを取り出すと、それをワークトップに置き蓋を開ける。
開ける瞬間に、カチッという音が聞こえた事に思わず桜の頬が緩んだ。
誰も封を開けていないペットボトルの蓋を開けた時に鳴るその音。つまり、このお茶に毒や何かが混入しているという可能性は低いのだ。
試しに少しだけお茶を飲んでみようと、食器棚へと手を伸ばしガラスコップを1つ取り出すと、そこへ今開けたばかりのペットボトルのお茶を注ぐ。
茶色の液体が透明のコップを徐々に染めていく。
特に何かが浮いている等という事もなく、見た目はどこも可笑しな所はないそのお茶。
それをゆっくりと口へと運ぶ。その間、桜の心臓はバクバクと大きな音をたて続けている。
そして、お茶が唇を濡らした所で1度ギュッと目を瞑った。


