何で上手くいかないの……

あの女は、…………殺したのに。



この場所で目を覚ました瞬間、桜の心は一気に恐怖に支配された。


見知らぬ場所に見知らぬ人達。


更には鎖で壁に繋がれた自分の右手と右足により、逃げる事すら叶わない。


これから自分はどうなってしまうのだろうという恐怖から、他の人が話をしていたが殆ど頭には入ってこなかった。


しかしその感情も、部屋の確認の為にそれぞれが部屋に入った事によって消え失せた。


桜の入った部屋は真ん中に木で出来た四角いテーブルがあり、そこに4脚の椅子が収まっているという一般的な食卓テーブル。


そのテーブルの右手側にクリーム色のアイランドキッチン。


そしてキッチンの後ろに食器棚と冷蔵庫が配置されていた。


よくある一般的なキッチンの間取りなのだが、この景色に桜は見覚えがあった。何故なら、このキッチンの配置は桜の家と全く同じだったのだ。