最初は一括で払っていたものの、徐々に分割へと切り替えていく。それでもお金が足りなくなり、結果、ローン会社に借入れする様になってしまった。


泥沼にはまって抜け出せなくなった桜。


そして、また別のローン会社へお金を借りようとしていた時にここへ連れてこられたのだ。





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「うっ………」


5角形の部屋に僅かに響くその呻き声。


その声を出したのは、守が殺してしまったと思っていた桜の声だ。


ただ、それ以上桜は声をあげない。


いや、あげれないのだ。


右手と右足に走る激痛から声をあげたいのにあげられないのは、守に押し当てられたスタンガンによって喉がまだ痺れているからだ。


動く事も出来ない桜の目に映るのは、真っ赤な血に染まった由里子の腹部だけ。


ただそれだけで、由里子の遺体の上に自分が乗っているのだという事が分かる。



何で、……私ばっかり。

何で私ばっかりこんな目に……。



桜の頭の中を回るのはそんな『なんで?』ばかりだ。



折角、……順調にいきかけてたのに。



そう思うと、再び「うっ……」と小さな呻き声をあげた。