桜の身体を自由に出来た事に満足し、ふうっと息を吐き出した守は、次に桜の身体を移動させようと手を身体に伸ばした。


両脇に手を差し込み身体をグイッと持ち上げると、ズルッ…、ズルッ…と引き摺る様に桜の身体を移動させていく。


桜を運ぶ先は、守が動ける範囲内で桜が倒れていても余り気にならない場所。


そんな場所はたった1つだけ。


由里子の死体の上だ。


由里子の死体の周りは由里子の吐いた血で真っ赤に染まっている。そしてその血は死へ直結するものに感染するかもしれない可能性があると話していた。


つまり、由里子の血だらけの死体の上に桜を乗せてしまえば、自然と桜は由里子の血から感染して死んだと考えが向く。


誰かが殺したとすら考えないかもしれない。


そういう観点からも、その場所が一番好都合なのだ。


桜の身体を引き摺りながらも、自分は由里子の血を踏まない様にゆっくりと近付いていく守。