手に触れたそれを右手にグッと握る。
固くて黒く、まるで鬼の2つの角の様に両端に輝く銀色。
刑事ドラマなんかのテレビで目にする事はあっても、実際に目にしたのは守は今日が初めてだ。
ただそれでも、それがスタンガンという物だという事は分かる。
このスタンガンが何ボルトで何アンペアの電流が人へ流れるのかは不明。しかし、わざわざ憎む相手がここに居るという手紙が置かれていた事から考えると、死に至らせる電流が流れる可能性は高い。
一般的に売られているスタンガンで人が死ぬ事はほぼない。だがそんな事は、改良すれば話は変わ
る事なのだ。
「俺が、……人を殺す……」
手に握ったスタンガンへ目を向けそうポツリと呟いたその時、コンコンとドアを叩くノック音が響いた。
バッと勢いよくドアへと顔を向ける守。
それに合わせたかの様に声が聞こえてくる。
「すみません、守さん。恩田桜です」
その声に守の肩がビクッと揺れた。
桜は守の右隣に居たのだから、繋がれている鎖の長さを考慮しても守の入っている部屋のドアの前までは来る事が出来る。
その事に今更気付いたのだ。


