その事に慌てて歩を進め様とした瞬間、ズルッと手に握っていたビデオカメラが地面へと滑り落ちていった。
夜の公園に自分以外の人がやって来た事による不安からかいた汗のせいで滑り落ちたのだ。
ただその時、落ちたビデオカメラにいち早く気付いて手を出したのは、守ではなく彼女だった。
「あっ!落とされましたよ」
そう言いながらビデオカメラを拾うと、守へとそれを差し出し、どうぞ…と微笑む。
ビテオカメラを受け取りながらも、その柔らかい微笑みに守の目は釘付けだ。
「あ、ありがとうございます」
「ビデオですか?」
「あ、……星を」
盗撮を誤魔化す為に口から出たのはそんな嘘。
ただ、空に輝く星の様に目をキラキラとさせた彼女にはその嘘が好印象だったらしい。
「ほんと!今日は綺麗な星ですね!ダイスケも見てごらん」
「ほんとだ!」
隣の少年の肩を軽く叩いて空を見る様に促す彼女に目を奪われる。
彼女の腰まである長い髪の上に月に照らされて出来る光の輪。
それが天使の様で目を離す事が出来ない。


