「貴方が、……私を……」
目を細め鋭い視線を守へと向け、ぽつりと漏らす。その桜の言葉に守がぎゅっと眉間に皺を寄せた。
もう何を言っても信じてもらえない。
その事に気付いたのだ。
一人で居るわけではないのに、孤独を感じる。
守を守ってくれる人はここには居ない。
「兎に角、俺は別にあんたを陥れようなんてしてねぇっての!」
信じてくれない者へと最後の抵抗としてもう一度否定しておくが、それにほっと胸を撫で下ろす者も居ない。
「そ、……そうですね。ええ。…きっと。……そうですね」
頬の強ばった嘘くさい笑顔を張り付けてそう言う桜。
それに思わず舌打ちが漏れた。
守の舌打ちにビクッと肩を揺らした桜は、慌てた様に自分の入れる部屋へと身体を向け、
「あ、あの。……さっき持ってこれなかったお茶持って来ますね」
と言って歩を進め出す。
守の目の届かない所へ逃げたかったのだろう。