好きがありあまりすぎる

バタッ

何かが倒れる音がした

「なんだろ?」

辺りを見回すとそこには、倒れた手押し車と持ち主であろうお婆さんがアスファルトに尻もちをついていた。

「あ!」

私が助けにかかろうと足を踏み出した瞬間。

お婆さんに駆け寄る人が目に映った。

「ありゃりゃ。先越されたな」

背後からハルの声。

お婆さんはその人に背中と手を支えられながら、ゆっくり立ち上がった。
そして笑顔でお礼を言っている。

「でも、まぁ。怪我なさそうで良かったよ」

私がポツリと呟くと
ハルは私の顔を横目で見ながら微笑んだ

「なに?」

問うとハルはわざとらしく聞こえないふりでスタジオに向けて走り出す

「ちょっと!迎えに来たんじゃないの⁈先行かないでよ!」

ハルを追いかけ、私も走り出した。