「あんた、いつまでそれやってんの」

玄関先で編み上げブーツに足を通していると、背後から同居人の声がする。

私は、木野村 葉菜(きのむら はな)
趣味はギター、好きなものギター、18才で(一応)大学受験を控えた受験生

「もう12月だよ?ライブ?かなんか知らないけど。そんなことしてる場合じゃないでしょ。私もそうだけど、美香も加那もみんな勉強してんのに。あんたは....」

「あー、はいはいはいはいはい。」

この口うるさいのは従姉妹で同級生の木野村 祐美(きのむらゆみ)


どうやら私は生まれたばかりの時、祐美のお母さん、つまり私の叔母に預けられて以来そのままこの家庭で育ってしまったらしい。
母親と父親も迎えに来る気配はなく、実際顔すらも覚えていない。
でも、そんな私をまるで家族のように接してくれる叔母と祐美には日々感謝している。

祐美は、私とは正反対
勉強ができて、真面目で、純粋で、女の子らしくて、みんなから慕われている
昔から太陽みたいな子


私はといえば、ひねくれてて、素直じゃなくて、女の欠片もなくて、友達も少ない。

だからたまに少しだけ祐美が羨ましいと感じてしまうときがある。
でも、そんなこと考えて悲観的になる自分にも腹がたつ。


「葉菜?聞いてる?」


祐美の呼びかけで、ハッとした私は適当に返事を返し、家を出た