「…あんた一人で行きなよ」

ズキズキと痛む胸。

「嫌だ。あの妖狐は一人で来いとか言ったけど無理だね」

「へぇ…。一人で来いって言われたんなら一人で行けば?」

ドクドクと嫌な音が鳴る。

「さくらの力が必要なんだってば!」

荒らげる声を出す啓太。

「…意味わかんない」

「あの妖狐を出すには生贄が必要らしい」

「その生贄になれと?」

「そうだ」

「断る」


キッパリと言った私に啓太は目を大きく開いた。

「じゃあ…生贄になんなくていいから、見つけるまで一緒に探してよ」

「…しつこいね」

「…フッ。俺の性格は知ってるはずだけど?」

表は王子様。裏に回れば…目的の為ならば何でも利用する。