虹色→ジゲン

***虹色→ジゲン第一色編***

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昔、この世にはたった二人の人類がいた。
そこは緑豊かな自然が色とりどりと輝いていた。

二人の人類の名は、アダムとイブ。



知ってる人も多いだろう。
そう、ご存知の通り昔の神話話しだ。



実際多くの人はただの昔の物語りだろうと思っている人は多いだろうが、今から始まる物語りはまた、全く別のアダムとイブの物語り。



アダムとイブはお互いを思いやり、そんなアダムとイブには全ての動物たちに愛されていた。



ある日イブが動物たちと野原で遊んでたときだった。
すごく大きな立派な大木を見つけ、イブは、「まぁ、すごく立派な大きな木ね!」と言い、後でアダムにも見せてやろうと思っていた。


時がすぎ、イブはもう一度あの大木に向かった。
イブは不思議とその木にいると心が穏やかな気持ちになるのだ。

ふと、その木を見ると真っ赤な熟した果実が一つ実っていた。

イブは木をのぼり一つの果実を取り、一かじりした。
それはとても甘くて今までに食べたことがない味だった。


残りはアダムに持っていこうとした。


その時!


周りは静かになり、動物や、全ての自然がとまっていた。


たった一人だけ除いて。

そうイブだけ除いて。


「えっ!何!みんな、どうしたの!?」

イブがいくら呼びかけても、皆、ピタリと止まって動かない。


何!?何が起きてるの!?
イブにはわからなかった。

サワサワサワサワ

木の周りにだけ風がふわりと吹く。


……………………………!!

そして、声が聞こえた。


(おまえは、禁断の果実を口にした。
おまえを待っていた。
これから、この星だけじゃなく、全ての星がいずれ無にかえるだろう。
イブよ、おまえに全ての力をやった。
全ての星を救いたければその力で変えてみせよ。

わたしはもう長くはない。
このままだと全ての星の時は止まったまま動くことはない。

それは、もう無に等しい。変えたければその力でこの世の時を動かし、おまえの力で好きなものに命の伊吹を与え、色とりどりの素晴らしい世界を造るのだ。
大丈夫、おまえにならできる。己を信じろ、もうわたしの寿命はつきる。楽しかった。ありがとう、イブ…)

…………………

その声はピタリと聞こえなくなった。

イブには何が起きたか理解ができなかったが、後に、自分の力を知り、どうすればいいのか理解した。


月日は流れ、イブに、新しい二つの命が宿り誕生した。
名は、カインとアベル。



アダムはあのとき、既に姿なかった。
どこへ行ったかも分からない。

だが、イブにはアダムはどこか遠くにいることだけは分かっていた。


イブはあれから時を動かすのに一年かかり、新しい命の伊吹を自然へと吹き込んだのだ。


そして、人類もまた増え、自然と一緒に暮らしていく……はずだった。