御予約ありがとうございます。

数分後、戻ってきた哲兄の右手には二つのグラスがあった。

「ほらよっ。」

「ストップ、哲兄!」

カウンターに置こうとした哲兄を美紅が遮った。

「なんだよ?」

カウンターの内側に身を乗り出した美紅は、重ねてあったコースターを二つ手に取り置いた。

「はい、どーぞ。」

「たくっ…はいよ。」

美紅は満面の笑みだ。

「インスタントでも缶コーヒーでもねーぞ。」

グラスをじっと見ていた僕に哲兄は言った。

「なんせ哲兄が入れたコーヒーなんて飲んだことないからな~。」

「バーカ。オメーらよりコーヒーに関しちゃうるせーんだぜ?」

哲兄は腕を組んで僕らを見ている。

「おいし~!哲兄やれば出来るじゃん!!」

一緒に…とかはなく。マイペースの美紅。

「だろ?まぁ、本気になりゃこんなもんよ。」

自慢げな哲兄。

だったら毎日、本気出せよ…客少ねーんだし。

横にいた美紅も思ったのか、僕のほうを向いて笑った。