御予約ありがとうございます。

中に入ると笑い声が聞こえてきた。

「ははっ、そーいやあったな!んなことも。」

哲兄の声だ。

「哲は何でも出来るって!結城先輩、少し嫉妬してたんじゃない?」

聞いた事のない女の人の声だ。

「バーカ。嫉妬してたのは俺だよ。」

「だいたい哲は…あ、お客さんよ!」

カウンターに座っていた女の人は僕と美紅を見て言った。

「んぁ…」

カウンター越に哲兄の顔が出てきた。

「あぁ、お前らか…。」

「うぃっす、哲兄。相変わらず少ねーな。」

僕は軽く会釈しながら言った。

「『お前らか』は失礼でしょ~?」

ごもっとも。ナイス美紅。

(にしても綺麗な女の人だなー…)

「なんだ?ホレたか尋季?」

黙って見ていた僕を笑いながらからかう哲兄。

女の人も笑っていた。

「哲兄の知り合い?」

後ろから美紅が尋ねる。

「初めまして。芹澤結衣(せりざわゆい)っていいます。哲とは大学時代の同期なの。」

立ち上がり、彼女は僕らに会釈してそう言った。

「同期じゃなくて後輩だろうが。」

哲兄は笑いながら言った。哲兄のこんなに嬉しそうな感じはいつ以来だろう…

とりあえず…僕ら以外では、久しぶりのお客さんだ。