御予約ありがとうございます。

「お母さん、アイスコーヒー二つね。」

相変わらずコーヒーの美紅。

「はいはい、もう作ってるわよ。」

店内は意外に広く、入って突当たりには、お酒とグラスの並ぶバーカウンターもある。

僕らが座る席は決っていて、この時間は夕陽が差し込む。少し眩しいくらいの窓側だ。

僕が決めたわけではなく、美紅が先に入り、必ずそこに座る。

理由は聞いたことがない。というか理由なんてあるんだろうか…。

「おまちどうさま。」

背の高いグラスが目の前に置かれた。

「ありがとう。」

「ども。いただきます。」
僕はミルクだけ。

美紅はシロップを半分。

「アンタたち何でこんな席に座んのよ?カウンターがあるんだから、そっちに座ればイイのに。」

確かに。美紗子さんの言うとおり。ちょっと眩しいし…

「イイの!私がここがイイんだから。」

「まぁ、別にいいんだけどね。」

母と娘。どこの家庭でも多いと思うが、美紗子さんと美紅も仲のイイ友達みたいだ。

「今日は6時30分から予約があるから、あと一時間ちょっとでお願いね。」

『UENO』の夜はいつも忙しい。

「了解。…わかったから、もう向こう行ってよー。」

「はいはい。お邪魔しました~。」