御予約ありがとうございます。

「…みぃーの。かぁーみぃーの」

「上野!」

目の前の視界がふさがれた。

「は、はい!」

クラス中から笑い声。

数学の富田だ。気付くと僕の机の前にいた。

「上野。珍しく起きてると思ったら、ボーッとして。悩みごとか?とりあえず、今は数学に悩め!」

ごもっとも。当然だ。

「いいか、上野。数学なんてのは、お前の思ってる通り、社会に出てもそうそう使うもんじゃねぇ。」

まーた始まった。

富田の熱血授業。嫌いではないけれど。

「でもな、今やってる授業ってのは今しかしない。意味わかるか?」

わかんねー…

「つまりだ!無駄にすんなってことだよ。確かに使わない、要らないかもしれない。でも、今っつう時間はもうないんだよ。どんどん過ぎてく。今がずっとあるなんて思うなよ。」

今の僕にはよくわからなかった。

が、一つ思ったことがある。

それは僕と美紅の関係。

富田の言った言葉…

「今がずっとあるなんて思うな」

でも。

たとえ時間は流れても、僕と美紅はずっと「近い距離」にいるのだと。

そして、それがヒデの言う「幸せ」であり、僕の考える「ずるさ」なのだと思った。