「あー。そう!俺の幼なじみなんだけどさー。なーんか、乃ノちゃんのこと気に入っちゃったみたいでさ、『敦話しかけてこい』って…」
やれやれ といった顔で言う矢野くん。
幼なじみ…?
「そ、うなんですか…。なんとなく、わかりました」
なんとなく、わかった。
なんとなく。
「よかった。てか、敬語やめない?同学年だし」
「あ、うん。わかった」
あんまり、仲良くはしたくないけど…。
「じゃああっち行こ!俺の幼なじみが待ってまーす」
ヘラヘラ笑う矢野くん。
てか、『気に入っちゃった』ってなんだよ!
幼なじみとか知らねーよ!
そう思いながらも、ちゃんと矢野くんの後ろをついていくあたしは、エライと思う。

