ガチャっとドアが開き、さっきまで電話してた隼田くんが笑顔で出迎えた。
その笑顔にきゅんとしたのは言うまでもなくて。
「ん、入って」
「お、おじゃましまーす」
わぁ、隼田くん家だ。
隼田くんのにおいと同じだ。
って当たり前か。隼田くんの家なんだから。
「俺の部屋ココだからテキトーに入って座っといて」
うん、と頷いて入った。
はじめて男の子の部屋に入ったかも。
こんなシンプルなんだね、男の子の部屋って。
机にベッド、真ん中に丸いテーブルが置いてある。
ほんとシンプルな部屋。
意外だったな、もっとゴチャゴチャしてるのかと思った。
そう思ってたのはテレビとか漫画の見過ぎなのかな?
間取りはあたしの部屋と変わらないなー。
そうだよね。同じアパートなんだし。
あたしは玄関入って直ぐ右のところに部屋があるんだけど
隼田くんの部屋は玄関入って直ぐ左にある。
部屋を見渡してると戸が開いた。
「あれ、まだ座ってないんだ」
「あ、うん。なんかシンプルな部屋だなって」
「そうかー?あ、座って」
まだ立ってるあたしにそう言って、「はい、どーぞ」とテーブルにお茶を置いた。
「で、分からないところってどこ」
あたしの目の前に座って、左ひじをテーブルにつけながら言った。
へ?
あ、ああ!そうだった。勉強しに来たんだったよ。
リュックから数学一式と筆箱を……!
あ。
「どした?」
あたしの異変に気付いたのか尋ねてきた。
「筆箱忘れたっぽい、です……」
最悪。もー、なんでちゃんと確認しなかったんだろー!
そう思いながら立ち上がった。
「あ、あたし取りに行ってくるね!」
──グイっ。
「いいよ、取りに行かなくて。俺の貸すし」
とシャーペンと消しゴムを取り出し、「はい」と渡した。
「あ、ありがとう」
ドックン、ドックン、ドックン……。
やばい。掴まれたところが熱い。
心臓がすごく速い。そしてやたら大きい。
「どした?」
「え!な、なんもないよ。さ、勉強しないと!」
よろしくお願いします、とお辞儀をした。
「フッ、よろしく」
もう、なんで笑っただけなのにドキドキしちゃうのかな。
その笑顔反則だから!
ちゃんと出来るかな。……がんばろ。
隼田くんもあと数ページ残ってるみたいで一緒にとりかかった。
このドキドキは果たして治るんだろうか……。



