閉会式が始まり、校長の長い長い話を聞かされ、総合優勝の発表をされた。
結果は俺らのチームが優勝。
俺は近くにいたヤツらに揉みくちゃにされ、喜び合った。
この優勝はなんか知らないけど俺のお陰みたいなんだ。
でもそれは違う。
俺を全力疾走させて1位にさせてくれたのは1人しかいない。
あとで言わなきゃな。
閉会式が終わって椅子と荷物を持って教室に向かおうとした。
が、後ろに引っ張られる感じがして振り向いた。
そこにはリレーで一緒だった神楽さんがいた。
俺の体操着の裾をキュッと掴みながら。
「あーお疲れさま。えーと、何?あ、足大丈夫?」
そういえば、足怪我してたのに走ってたことを思い出して最後に付け加えた。
てか早く教室に戻って木下のところに行きたいんだけど。
神楽さんは下を向きながら頷き、そしてゆっくり顔を上げた。
すると前の方から「斗真ー?」って呼ぶ驎太の声が聞こえた。
けど、俺の後ろにいる人をみてニヤりと笑い「先行ってるわ」と手をヒラヒラさせながら行ってしまった。
……なんなのあの顔。
驎太の背中をみながら思っていると後ろから静かで落ち着いた声が聞こえてまた振り向く。
「あ、ごめん。で、なんだっけ」
「……あ、あの!ありがとう。リレーの時。ほんとダメかと思ったの。でも、隼田くんが励ましてくれたから最後まで走れた」
と優しく微笑みながら言った。
そしてまた「ありがとう」と。
「いや、別にお礼言われるようなこと言ってないし。1位になれたし。良かったじゃん?」
ただ負けたくなかったから。
それだけのこと。
だからお礼言われても、ってなる。
「じゃ、俺戻るよ」
会話がなくなり、そろそろ教室に戻ろうと体を校舎に向けた。



