暦は12月になった。

先月まで長袖一枚羽織るくらいで十分だった寒さが、一段と増してコートやマフラーが必要なくらいに。


あれから、岩島とは廊下で顔を合わせる度に笑って挨拶するようになった。
そう、あの頃と同じ。

たまに放課後一緒に帰ったり。


って、そこには隼田くんもちゃんといるからね!
大丈夫、安心してください!

しっかり手を握られてたから。

その時のチカラは強すぎて、痺れるほど。

気持ちはかなり伝わってきたけどね。


でね、びっくりしたことが1つあって。

岩島とあたしが住んでる所、近いんだって!
本人曰く、『アパートの隣の隣の隣の家』だって。


数ヶ月前に知ってたら絶対怯んでたと思う。


でも、今はなんとも思わない。
あくまで、普通。

隼田くんはかなり嫌な顔してたな〜。




「ねぇ、気持ちわるいんだけど」


はいぃ?!

急に現実に戻され、
発された方に目をやると、妹の光樹があたしを黒い目で見ていた。
しかも、腰に手を当てて偉そうに戸に寄りかかりながら。


お前はモデルかっ!!

心の中でツッコミを入れると、



「……今日なんか予定があるんじゃないのー?」

と言った。



その言葉にソファーから勢いよく立ち上がる。


そうじゃん!今日はデートだ!
時間はっ!?

スマホ画面をつけて時間をみた。



【10:31】



だ、大丈夫っ。まだ大丈夫だった〜。
あと15分後に家を出る予定だから。

朝早く起きすぎて、準備もバッチリ済ませたせいで余裕こいてたから……。


光樹に感謝だ。



「ほんっと、舞美って抜けてるよね〜」

そう言うとサッと立ち退いた。



ひどい!ひどすぎる!ほんっと一言余計なんだからっ!
ムカつくー!



「光樹のばーーーかっ!!」

でも、これが姉妹なのかなって思うんだよね。

妹っていう存在がいてくれて良かった。