「……あたしを馬鹿にしてたんだね。……っ、デブって…………ぅっ」

ダメだよ。しっかり。
でも、……つらい。


「き、のした……」

「っ名前呼ばないで!」

手を伸ばしながら言った岩島をあたしは強く払った。
こんな奴に名前呼んで欲しくないっ!


「もう、名前呼ばないで……っ。呼ばれると、つらい……っ」


嫌でも思い出してしまうから。
あたしの輝いていた思い出を。


泣かないようにしていたのに、涙は正直で勝手に溢れてくるそれをあたしは袖で強く拭き取った。

これで、本当に終わり。この想いも。




「岩島のこと、思っていた以上に好きだった、っ。こんなあたしと、仲良くしてくれて……っありがとう。……サヨナラ」



あとのことは曖昧で、重い体で無我夢中に家まで走って、ずっと部屋にこもりっきりだった。


クラスが同じなのはしょうがないとして、卒業するまで接触しないようした。
なっちゃんは相変わらず明るく接してくれたけど、気を遣わせてるように感じて申し訳ないと思った。

多分、なっちゃんの心配症はあたしがキッカケだと思うんだ。


そして、あたしはもう恋は『しない』って決めた。
デ、……太ってるから。
恋愛には向いていないこの体。



それなのに──。

今更、なんなの?!
岩島が、わからないよ。