──で、今に至ってます。
無言で歩き続けるあたしに隼田くんは問いかけてくるばかり。
もういいもん!隼田くんなんて知りません。
なんも分かってないんだからっ。
……ってあたしのほうか。
自分が勝手に怒ってるだけなんだもんね。
そりゃ、隼田くん分からないよね。あたしの気持ちなんて。
~~~~っ!
でもムカつく!!
なんで神楽さんとめっちゃ笑ってるの?
なんで隼田くんに触ってるの?
なんで??
このモヤモヤした気持ちってなに?
……そんなの知ってるよ。
だって覚えてるもん。この気持ちを持ってた時のこと。
あの時が初恋、だったから。
って、もうそれは嫌な思い出だから!
あたしは浮かんできた場面をかき消した。
すると。
「なにしてんの?」
フッと笑いながら聞いてくる隼田くん。
その顔ずるいよ?
「べ、べつに?」
少し声が裏返っちゃったな。
それをみて隼田くんは笑う。
この笑った顔もずるいよ……?
「ふーん、そっか。で、なんで怒ってるんですか?木下さん」
なんで敬語?
思わずおかしくて笑ってしまった。
「やっと笑った」
そう言ってあたしに笑顔を向ける。
うー。怒ってるはずなのに!
だんだん薄れていくのはなぜなんだろう。
……隼田くん効果?
なーんて、以前隼田くんに『木下効果』なんて言われたことを思い出して真似て付けてみた。
隼田くん効果はあたしにはとても強力なようです。
「あ、着いた」
そう呟いて家の前に立ち止まった。
早く中に入ろうと階段を上ろうとした時。
「まだ、聞いてないんだけど?怒ってる理由」
と隼田くんがあたしの手首をしっかり掴んで言った。



