「じゃあ、僕たち行くんで」

「ああ、じゃあな、結芽」




臣が私の手を引いて歩き出す。
引っ張られるようにして春兄たちの横を通り過ぎていく。



その瞬間、私は見てしまった。




私たちの事を、何か言いたげな表情で見つめているみゆさんの事を。








「・・・み、臣!」





自分の家も通り過ぎて二人が見えなくなったところまで来ると私は臣を呼んだ。
ピタッと止まった臣はただじっとまっすぐ向いているだけ。





「なんであんなこと・・・」

「・・・・。その方が、吹っ切れるじゃん。いつまでも思ってたって仕方ないんだしさ」




臣はそう言いながら振り返るとにっこりと笑った。
吹っ切れる・・・。
吹っ切らなきゃ、いけないんだよね。