「あの時、臣と付き合うって決めた時は、寂しさを埋めたかっただけだったと思う・・・。でも、臣だったから、臣ならいいかもって思ったの」

「・・・」

「臣といたら、春兄の事忘れられた。失恋したことも、その痛みも・・・。私の名かがね、臣で満たされてくのを感じたの」





空っぽだった心を埋めてくれたのは臣だから。
それがあれば、私は一人でも生きていける。



そう、覚悟を決めた。




「でも、今更好きだって言えなくて・・・。結局、こんなことになって。言っとけばよかったって後悔したから・・・。最後に、ちゃんと伝えておきたくて」





言ってスッキリするのは私。
臣は、きっと困るだけだろう。

だから、自分のためなんだ。





「ありがとう、臣。私を救ってくれて。ありがとう。さよなら」

「結芽ちゃ・・・」

「臣も、大変だね。婚約者がいる人が好きだなんて」




笑顔で、さよならをするんだ。
臣の中で、私がいい思い出に変わるように。