「結芽ちゃん!」 家につく途中、呼び止められて反射的に立ち止まった。 息が上がり、苦しくて胸を抑える。 「結芽、ちゃん・・・」 苦しそうに吐き出される名前。 久しぶりに、聞いた声。 振り返れば、久しぶりに向けられる瞳。 「臣・・・」 会いたくなんて、なかったのに。 こんな、ボロボロの顔で。 ぐちゃぐちゃの心で。 「結芽ちゃん、・・・僕」 向けられる瞳も、声も、思いもすべて。 みゆさんの、代わりだったの?