「帰ります・・・」

「え?あ、ごめんなさいね。引き止めて・・・。でも、わかってほしくて。臣は、あなたの事・・・」

「もう、わかりましたから・・・」




わかったよ。
全部。




「・・・本当に?」

「はい。臣は、いつだって、・・・みゆさんの事を想ってるんですね」





私はそう言うとお金をテーブルに置いて席を立った。



「結芽ちゃん!」




背中に投げられる声を振り切るように走って。
こみ上げる涙を忘れるように風をきる。





ああ、すべてはみゆさんを想ってたから。
イルカを好きになったのも。

スペシャルランチメニューを食べるのも。




あの水族館を選んだのも。




全部、全部。