「結芽さん!」



授業が終わり、帰ろうと教室を出ると。
目の前に、金色の髪の毛がチラついた。


私は、返事もせずにそのまま通り過ぎる。
反応するからいけないんだ。




「ちょ、ちょっと!結芽さん!」




麻生くんは懲りずについてくる。
ていうか、普通に下の名前で呼ぶのやめろ。




「市川さんです。先輩なんだから、そう呼びなさい」

「えー、結芽さんの方が可愛いじゃん!」

「それと敬語!」




別に、上下関係とか特別気にする方じゃないけど。
あんただけは別よ!




「むー、志保さん。どう思いますか?」

「えっ、私?」




ターゲットをシフトチェンジする彼に、慌てて立ち止まる。




「ちょっと、志保にちょっかい出さないで!」