「結芽!」




家が遠目に見えた時、私を呼ぶ声がした。
私に駆け寄る人の姿。



「春兄・・・」




もしかして、私の事を待っててくれてたの?
いつから・・・?




「大丈夫って言ってたけど、急に電話切れたし心配で・・・」





簡単に、引き戻されてしまう。
でも、それでも・・・。




「大丈夫。涙を見せられる人ができたから」

「・・・え・・・」

「だから、もう大丈夫だよ、春兄」




春兄から、卒業する。
引き戻されてく想いでも。
春兄には幸せになってほしいから。


足かせになりたくはないから。