「おいしいです」

「本当?口に合ってよかったわ。お手伝いしてくれてありがとう」




臣のお母さんは、本当に優しくて表情からも嫌悪感なんて全くうかがえない。
だから余計に戸惑ってどうしたらいいのかわからないんだ。




「結芽ちゃん、ほんとごめん。まさかこんなことになるとは・・・」

「あ、私は全然・・・。あの、本当にお母さんが留守の時にお邪魔してしまってすみません。あの、臣くんは悪くなくて、私が無理やり・・・」

「私は、責めるつもりはないわよ。臣は誰彼かまわず連れてくるような子じゃないし。連れて来たってことは、それだけあなたに心を許してるってことだから」

「ちょ、母さん!」

「信じてるのよ、臣の事を。無責任なことをできる子じゃないって」





それが、親子ってものなんだろうか。
だったら、私の家族ってなんなんだろう。


信じてる。
お母さんは、私の事を信じてくれてる?





「結芽ちゃん?」




目の前が暗くなるのを、臣の声が引き戻す。
顔をあげたら優しい笑顔のお母さんと臣がいて。
温かいと思った。
眩しくて、視界がぼやけた。