「お風呂、ありがとう」



臣に貸してもらった服を身に纏い出て行くと、臣は私を見て目を丸くした。




「髪!乾かさなきゃ、温かくなってきたとはいえずっと雨に打たれてたんだから風邪ひくだろ」

「あ、ごめん・・・。ドライヤーがわからなくて」

「あ、そっか。ごめん。持ってくるから待ってて」



臣はバタバタと慌ただしく洗面所に消えていく。
なんだか変な感じ。



「はい。これで乾かして。僕、風呂行ってくるから」

「うん。ありがとう」




臣、もう怒ってないのかな・・・。
私酷いこと言って突き放したのに。

こんな風に優しく接してくれるなんて。




胸が痛いよ。




鞄の中から携帯を取り出す。
画面をつければ着信がたくさん入っていた。