「着替え、僕の服使って」

「ありがとう・・・」




私は臣の家に連れられてきていた。
なんでついてきてしまったんだろう。

家に帰ると言ったけど、臣が許してくれなかった。



濡れた身体を玄関先で拭くと、臣がバタバタとお風呂の準備をしてくれた。
臣は、一軒家の実家で暮らしている。




「あの・・・。家族の人は?」

「え?あ、今日誰もいないんだ。二人とも旅行に行ってて。だから僕も遅くまで友だちと遊んでて」

「そうなんだ・・・」

「よし。はい、結芽ちゃん先に入ってきて」




そして着替えとタオルを渡される。
でも、私のせいで臣だって濡れているのに。




「臣、先はいりなよ」

「結芽ちゃんが先。なんなら一緒でもいいけど?」

「・・・っ、入ってくる!」




すっかり前の臣みたいで、少しホッとしている自分がいる。
学校で会った臣を思い出して胸が痛んだ。