探るように小さな声を聞いた。
自分の名前のような気がして顔をあげた。




「・・・お、み」




私の目の前に、ビニール傘を刺して立っている臣の姿。
臣は驚いたように目を見開く。




「な、にしてんの!こんなところで!」




次の瞬間には、堰を切ったように私に駆け寄り傘を差し出してくれた。
どうして・・・。




「なんで・・・」





思ったことをつい口に出して問えば、臣は私の目をまっすぐ見た。





「こんな結芽ちゃん、放っておけるわけないじゃん」

「・・・っ、放っておいてよ!私は臣を突き放したんだよ!それなのに、優しくなんてしてくれなくていいよ!」




こんな風に優しくしてもらう理由なんてないよ。
私は、臣に酷いことをしたんだから。