「なにそれ・・・、なにそれ、なにそれ!」




私の言葉に志保が声を荒げた。
そんな志保を初めて見たから戸惑う。




「それでいいの!?それじゃあ、結芽はどうなるのよ!それで夢は幸せになれるの!?」

「いいの。私に幸せなんて、似合わないから」

「似合うとか似合わないとか、わけわかんないよ。最近、臣くんといる結芽見てて嬉しかったのに!結芽も、楽しそうだったし・・・これで、結芽も幸せになれるのかなって・・・」




声は次第に震え、ポロポロと瞳からは涙が零れる。
その涙に私は動揺し言葉を噤んだ。

なんて美しいんだろうと。
なんてきれいな涙を流すんだろうと。

そんな事をふと思った。





「それなのに・・・。バカ!結芽のバカ!」

「ごめん・・・。ごめん、志保。でも、こうするしかできなかったの・・・」



弱い自分には。
どうしても、春兄のところへと引き戻されてしまう、弱い私には。

そんな私に、臣を縛り付けておけなかったよ。


臣に、少し惹かれている自分がいたことは確かだった。