「あ、臣くんだ」




志保は、私が臣に言ったことを知らない。
私一人気まずくて立ちすくむ。


どうしよう。
今すぐここから逃げたい。

臣になにを言われても、なんて答えたらいいかわからない。




「あ・・・」




水沢さんが私に気づき、顔を強張らせた。
気まずそうに目をそらし立ち止まる。





「優樹菜?行くよ」

「え、あ・・・、でも、臣」

「・・・ああ、市川先輩に小田先輩おはようございます」

「え・・・」




臣はそこで初めて私たちに視線を向けると他人行儀にそう挨拶を告げた。
私は言葉を失う。
志保も、驚いたように目をパチクリとさせ、私を見た。