春兄に頼んだカバンは志保に頼んで持ってきてもらった。
事情を知らなかった志保には尋常じゃないくらい心配させてしまったけど私は春兄に会う前に帰りたかった。

だからまたメールするねと告げてそそくさと逃げるようにして学校を出た。


松葉杖って不便。
慣れてないからうまく歩けないし、煩わしさを感じる。




なんとか家にたどり着いて中にはいるけど、当然のように誰もいない。
わかりきってることにいちいち傷ついたりしない。




春兄にも、もう頼らない。
困らせたくないから。




「はー、疲れた」



バタン、とベッドに倒れた。
長い一日だった。


目を閉じて、モヤモヤした気持ちに蓋をした。




忘れてしまえばいい。
一人だったころを思い出せばいい。




ずっと一人だった。
だから、平気。