私が怒鳴る前に、もっと大きな怒鳴り声が響いた。
校門の先にいるのは生活指導の袴田先生だ。



「げ」



彼、麻生君はあからさまに嫌な顔をする。




「こら、麻生!お前、その髪色直して来いと言っただろうが!」

「これは、地毛ですー」

「そんなわけあるか!お前生粋の日本人だろうが!」

「僕の父方の祖母の兄の従妹の・・・曾おじいさんが外国の人だったのかもしれません!」

「例えそうだとしても遠すぎるわ!!!」





袴田に捕まったとなると10分は解放されない。
今のうちに逃げてやる。

私はこそこそと側から離れていく。



「あ、結芽さん!ちょっと!」




そんな私に気づいた麻生くんは声を上げる。




「こら、麻生!話はまだおわっとらん!」




呆気なく袴田に捕まった。
ご愁傷さまだよ麻生くん。


しっかり反省しなさい。