「僕が背負います」
私が戸惑っていると、臣がしっかりとした口調でそう言った。
春兄と松本先生が臣を見た。
「なにを言ってるんだ。お前は教室に戻りなさい。もう結芽は目が覚めたんだ。あとは先生たちがするから」
「だから、車まで。そうしたら戻ります」
二人の間に何かピリピリした空気を感じる。
なにか、あったの?
そんな事を感じさせる雰囲気だ。
「ね、結芽ちゃん。僕が背負っていく。いいでしょ?」
まっすぐ見据えられそう言われると私はなにも言えない。
断る理由なんてないし。
それに、春兄よりはそのほうが・・・。
「お願いします」
そう言うと臣はいつものように柔らかく笑って頷いた。