ゆっくりと目をあけると、二つの顔が私を覗き込んでいた。
あれ?私、どうしたんだっけ。



「よかった、結芽」

「結芽ちゃん」



心配そうな顔で覗き込むのは、春兄と臣だった。
そこで頭を巡らせようやく自分が階段から落ちたのだと気付いた。




「市川さん、痛いところは?どんな些細なことでもいいから」

「あ・・・」



保健室の松本先生が心配そうに尋ねる。





「体中が、打ち身みたいに痛いくらいです」

「頭は?」

「頭は全く・・・」

「そう。念のため病院に行きましょう。高城先生が車を出してくれるから」

「先生が・・・?」




私が視線を移すと、春兄はコクリと頷いた。