「話を逸らさないでくださいよ」

「・・・お前は、なにを気にしているんだ。結芽の彼氏は君だろう?」



余裕のあるその声に苛立ちを覚える。
グ、と唇を噛み高城先生の背中を睨みつけた。



「結芽ちゃんの気持ちを知ってて、優しくするのって、残酷だと思わないんですか?」

「どういう意味だ?」

「それとも、結芽ちゃんの事も手放したくないとか?」




怒りの気持ちが抑えられず、目じりを釣り上げる。
拳をグッと握りしめ高城先生の反応を待つ。





「俺は、結芽の事大切に想ってるよ。小さいころから見てきたんだから当たり前だろう?そのことを、お前にとやかく言われる筋合いはない」

「先生の彼女はどうなんですか?そのこと、納得してくれてるんですか?」




止まらない想いをぶつけたところできっと、高城先生には意味をなさない。
僕が誰で、どの位置で話しているかなんて知らないのだから。




「自分よりも大切にしてる子がいること、納得しているんですか」