「それなのに臣は、いつだって結芽ちゃん結芽ちゃんって・・・あなたのところに行ってしまうんです」

「あ・・・」

「お昼だって、一緒に食べたいのに、誘ってもあなたと食べるからって」




いつしか声は震えて。
それが怒りでなのか、悲しみでなのかはわからないけれど。
真っ直ぐに反らすことなく見つめられる視線を受けながら私は、胸が締め付けられる思いだった。


臣の事を好きな子にとってすれば、私の存在は疎ましいものだろう。
こんな風に責められても仕方のないことなのかもしれない。



「あなたに気がないなら、中途半端にお昼の約束したり臣と話したりしないでもらえませんか?」

「・・・ごめんなさい」

「いつまでたっても臣があなたの事忘れられないじゃないですか!!!」





その迫力にまた一歩と後ろに後ずされば、そこもう階段があったらしく、私は足を踏み外してしまった。




「あっ!?」




ガクンと体が落ちバランスを崩すと、そのまま階段をなだれ落ちていく―――――・・・。





身体を打ち付ける痛みの中、私は誰かが名前を呼ぶ声を聞いた気がした・・・。






「結芽!!!!」