前まで来たのは良いけど、勇気がなくて、研究室のドアを開けない。



先輩きっと迷惑だよね…


私のこともっと嫌いになっちゃうかな…



そんなことを考えた途端、みるみる自身がなくなっていく。



もう、諦めて帰ろう。



先輩に嫌われるよりはマシだよね。



そう思って、さっき歩いて来た道を戻ろうとした



「七瀬か?」


ドキッ



胸がびっくりするぐらい高鳴った



…早川先輩だ


私の足音に気がついて、研究室から出てきたんだ…



「先輩…」



「お前、一人で来たのか?


こんな遠いとこまで」




「はい。


先輩に会いたかったから…」



顔をうつむかせたまま呟く



「ちょっと向こうで話しよっか」



そう言って先輩は私の手を引き、屋上に向かった。




屋上の扉を開くと、涼しい風が吹き、とても気持ちがよかった