今の私は慶介さんのことが好きで、慶介さんも私を好きでいてくれる。

幸せになりたい気持ちもある。

だからきっと、その気持ちに真摯に向き合えばいいんだ。





「実乃、やっぱりウチに行こう。風邪の引き始めかもしれない。薬出すよ」

「心配性だなぁ、慶介さん」

朝食を片付けながら訝しげに私を覗き込む慶介さんに苦笑いを溢しつつもそう応えて。
支度を整えて二人、慶介さんの実家へ向かう。



―――大丈夫。

慶介さんと過ごしてきた日々も、育んできた私の気持ちにも偽りはない。

例えばこの気持ちに名前を付けるのなら、少しフライングしたマリッジブルーだと呼んでしまおう。

―――そう、胸の中で呟いて。